目的を最初に考えることを忘れずに!
「法人を利用すれば節税がしやすくなる。」
不動産投資の本などを目にすると、書かれていることの多い内容の1つです。
実際に、この文章を、言葉通りに受け止めるならば、YES、だと私も感じます。
ただ、節税になるかどうかは、個人差があります。
法人で購入したことで、むしろ費用の負担が発生して損してしまう可能性もありえるのです。
だからこそ、法人でマンションを購入するかどうかを意識するならば、スタートする時に、
「不動産投資をどのくらいの規模感まで広げたいか?」
「何を目的として、法人で購入したいと思うのか?」
という点を、はっきり明確にしてからでないと、後々後悔の気持ちが湧きかねません。

所得税・住民税の点からのポイント

法人で不動産投資、賃貸業をしようとする場合、現役時代の所得税・住民税を抑えたい、というケースが多いです。
個人の所得税は、収入・所得が上がれば上がるほど税率が上がる仕組みになっています。
そのため、不動産所得が給与にプラスされることで、納税の負担が重くなるケースがあります。
その時に、法人で不動産を持ち、賃貸収入を法人に帰属させることができれば、個人の税負担を抑えられることにつながります。
とは言え、もしあなたが不動産投資に求める目的が、例えば、月に15~20万円の副収入という規模感であれば、区分マンションであれば、3~4部屋くらい保有することで達することができます。
その時に、法人で保有してしまうと、法人税や決算申告を依頼する税理士先生に払う費用などを考えた時に、個人で保有している場合と、支出の金額としては、大差がなくなる可能性が考えられます。
つまり、所得税・住民税の節税を目的に法人での購入をスタートしたのに、金銭的な面でのメリットを感じにくくなりかねない、ということです。
だからこそ、所得税・住民税の節税を目的として、法人購入を考える場合は、不動産投資をどのくらいの規模感、部屋数で将来的に行っていきたいか、という目標を最初に考えることが、何よりも大切になってきます。
相続・相続税の点からのポイント
相続を見据えた法人での購入であれば、法人で所有する部屋数が少なくとも、メリットはあるのではないかと私は考えています。
法人の株式が相続財産とはなりますが、決算対策などを行うことで、株式の評価額を下げられるなど、ある程度コントロールしやすくなります。
そもそも、法人の株主を、被相続人でない方にすることで、法人を、相続とは切り離して考えられるようになります。
個人の財産を法人に移転して減らすことができれば、相続の対象となる個人資産を減らすことができ、ひいては相続税を抑えることにもつながります。
また、法人でマンションを所有していれば、相続が発生した時、登記の変更手続きなどの手間も発生することはありません。
法人の株主の名義変更だけで、手続きとしては済ますことができる点も、メリットとして考えられます。
相続を見据えての法人での購入の場合、被相続人となる方が、いつお亡くなりになるかは、誰にも予想ができません。
だからこそ、少しでも早いうちから検討し、対策を考えながら備えることが大切だと私は考えています。


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斎藤 岳志 >>プロフィールをもっと見る
某百貨店に3年ほど勤務。色々な方との触れ合いを通じて、サービス・接客・対人関係の基礎を身につける。
百貨店在職中に、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、資格取得をしたことをきっかけに、数字を扱う仕事に興味がわき、転職して、経理・税務という職種を経験。自身の強みとなっている。
また、プライベートな部分でも、株式投資に始まり、信用取引や商品先物取引、投資信託やFXなど、投資と名のつくものはだいたい経験し、その経験を経てくる中で、一番自分の性格とうまの合った不動産投資を2007年にスタートして以来、自分の資産運用に関しては、中古マンション投資を中心に金融資産の運用と不動産を組み合わせたバランスを意識して取り組んでいる。
【所有資格】
CFP
相続診断士
終活アドバイザー
資産形成コンサルタント