少額でも並行して始めるのがおススメ
「イデコとNISA、どちらを選べばよいですか?」
ご相談者様などから、このように聞かれた時、
「少額でも良いから、どちらも並行して行うのが良いです」
と私はお答えするようにしています。
理由は、「制度の主旨、目的が異なるから」
イデコもNISAも、税金を取りたい国が、あえて非課税で良いと設けてくれた制度です。

これが意図するところは、
「税金を免除してあげるから、公的な給付などだけに頼らずに、自助努力で準備して下さい」
ということではないか、と私は捉えています。
イデコ
・60歳以降などの老後保障に絞っている
・最低積立額が月額5,000円
NISA
・運用益だけが非課税
・無期限で、売り買いがいつでもできて柔軟
・投資信託のつみたてであれば、100円からできる所もある
あなたの置かれた状況次第な部分もありますが、毎月最低でも5,100円をイデコとNISAに回そうと決断できるのであれば、どちらを優先するとかではなく、両方の制度を活用するのが得策だと私は考えています。
イデコのメリット・デメリット
イデコのデメリットを最初にお伝えします。
それは、最低でも60歳までは、基本的に引き出しができないこと。
この拘束があることで、イデコへの加入をためらっている方も一定数いらっしゃるのではないか、と感じています。
たしかに長期間使えないお金として拘束されるのは、ストレスを感じるかもしれません。

ただ、私の意見としては、それを上回る、税金上のメリットがあり、その点を加味すると、実質的な掛金を抑えて、60歳以降に備えた資産形成ができる有利な手段ではないか、と捉えています。
そう感じたからこそ、イデコという愛称もなく、制度ができてまだ数年しかたっていない2004年、27歳の時に、私は加入する決断をしました。
時期に応じて、掛金の増額、減額をしながらも、とにかく掛金を払い続け、投資信託に投じながら、60歳目指して運用を続けています。
拘束されるデメリットを上回るイデコのメリットは、
「掛金が全額所得控除になる」
「運用益が非課税」
「受け取る時に、退職所得か公的年金の控除を利用できる」
という点です。
1番身近に感じやすい、最初の所得控除の点を考えると、所得税が20%かかる方だとすると、住民税は一律10%なので、合計で税金がかかる所得に対して、30%納税することになります。
もしイデコの掛金を年間で12万円払っているとした場合、12万円の30%、
36,000円の納税負担が軽減されることになります。
利息として受け取る訳ではありませんが、払わなくて良くなった税負担分を利息とみなせば、12万円のお金を投じて、30%のリターンがあったようなイメージです。
いろいろな資産運用商品を見ていますが、合法的にここまで利率の良い投資対象は見たことがありません。 この点を考えただけでも、イデコに加入するメリットを感じませんか?
NISAのメリット・デメリット
NISAもデメリットを最初にお伝えします。
それは、利益が出ず、損失を抱えて損切りした時に、その損失はなかったものと扱われる点です。
NISA以外の口座で生じた損失は、譲渡益や配当金との通算をして税負担を抑えられますが、NISA内の場合、利益が出ても税金がかからない代わりに、損失が出ても、損益通算ができず、なかったものと扱われる。 この点が、デメリットと感じる方がいらっしゃるかもしれません。

ただ、私の意見としては、イデコと同じで、デメリットに感じることを上回る良さというか使い方を考えているので、イデコ共々NISAも活用しない手はない、と考えています。
NISAのメリットは、利益に対する税金約20%が非課税という点になってくるのですが(一生涯で元本1,800万円までという制約はあります)、この非課税のメリットを享受しながらNISAを活用する1番の方法は、つみたて投資枠を使って、投資信託の積立を行う所にあるのではないか、と考えています。

投資信託の積立を再投資の設定で行っていれば、長期にわたって続ければ続けるほど、複利の効果が生まれ、利益が産まれる元となる元本に相当する金額が、どんどん増えていくことになります。
利益が膨らめば膨らむほど、売却していざ使いたい時に、税金をひかれず、利益分も含めて100%が手取りになるというのは、複利で産まれた利益を、存分に享受できることになる。
この点が、NISAの期限が無期限となったことで、活用方法の中でも、1番メリットを私自身が感じている所でもあります。
仮に最初は、資金を投じる不安や慎重さから、100円とか1,000円とか少額から始めても良いですが、慣れてきたら、少しずつでも無理ない範囲で増額していくことで、利益を産み出す元本を膨らませることにもつながるので、検討されると良いのではないか、と思います。
イデコもNISAも無理ない範囲で増額していくことで、利益を産み出す元本を膨らませることにもつながる
まとめ
この回答は、私見にはなりますが、イデコもNISAも、デメリットを上回るメリットがあると感じる点、そして、長期投資という視点で、長い目で見た時の運用成果に対しての恩恵が大きくなる点などを考えると、どちらから始めるという選択肢ではなく、無理ない金額の範囲内で、両方並行して取り組むことが、将来的にあなたの金銭面での不安を解消する近道になるのではないか、と私は考えています。
関連ラジオ:NISA、どんな商品を選べば良いの?

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斎藤 岳志 >>プロフィールをもっと見る
某百貨店に3年ほど勤務。色々な方との触れ合いを通じて、サービス・接客・対人関係の基礎を身につける。
百貨店在職中に、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、資格取得をしたことをきっかけに、数字を扱う仕事に興味がわき、転職して、経理・税務という職種を経験。自身の強みとなっている。
また、プライベートな部分でも、株式投資に始まり、信用取引や商品先物取引、投資信託やFXなど、投資と名のつくものはだいたい経験し、その経験を経てくる中で、一番自分の性格とうまの合った不動産投資を2007年にスタートして以来、自分の資産運用に関しては、中古マンション投資を中心に金融資産の運用と不動産を組み合わせたバランスを意識して取り組んでいる。
【所有資格】
CFP
相続診断士
終活アドバイザー
資産形成コンサルタント