早めに資産と負債の共有を!
50代でいらっしゃるとのこと。
年代的にご両親の相続などを、より強く意識されることと思います。
また、ひとりっ子でいらっしゃるということで、相談する相手もおらず、ご不安な気持ちでいらっしゃるのかともお察し致します。
そんなあなたに、最初におススメしたいこと。
それは「ご両親と資産や負債の現状を共有すること」です。

お金の話題を切り出すのは難しく感じるかもしれません。
ご両親のお気持ちとして、「私たちの財産をあてにしているのか」みたいに思われ、険悪な関係になることを懸念されるかもしれません。
ただ、遅かれ早かれ、相続は、誰にでも起こりえることです。
ひとりっ子でいらっしゃるということなので、親族と相続をきっかけに揉めるような、いわゆる「争族」になる可能性は低いかもしれません。
一方で、手続きなどを家族に頼れず、ひとりで行うことが予想されます。
だからこそ、ご両親が健在の内に、
「金融資産や不動産などの資産をどこに、どのくらい保有しているのか?」
「ローンなどの借金があるのかどうか?」
この点に関して、勇気を出して話すことが大切です。

そして、
「相続が起きた時に、友人が手続きで大変だった話を聞いたから」
「新聞や本などで、相続の準備の大切さを知ったから」
などを伝えながら、財産目当てで話題を切り出したのではないことを理解してもらう。
そして、相続財産の話題に、自然と入っていけるように、心情的な面にも気を配ることが大切です。
相続税対策も意識する
相続財産の話をして、資産や負債の現状が把握できたら、次に意識すると良いのが、「相続税の対策」です。
相続税がかかる対象になる資産の評価額は、金融資産や不動産によって違いはありますが、相続財産の評価額から負債を差し引いた金額に対して、相続税は課税されます。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があるので、この金額以下であれば、相続税の負担はありません。
法定相続人が多ければ多いほど、この基礎控除の金額も増えるので、相続税の負担が和らぐ可能性も高まりますが、
ひとりっ子でいらっしゃる場合、基礎控除の金額が高くないので、基礎控除を上回る資産を、ご両親から受け継ぐ可能性も高まります。

ご両親が健在の内に、資産と負債を把握できれば、相続財産が、基礎控除の金額を上回るのか下回るのかの把握もできます。
下回っていれば心配は不要ですが、もし上回っている場合は、
「お金の置き場を、預貯金などの金融資産から、生命保険や賃貸用不動産に変える」
のような事前準備を行うことで、相続税の負担を和らげることにもつながります。
事前準備が手間で面倒であれば、ありのままを受け継いで、相続税の計算をして納付するというのが、悪いことだとは思いません。
少しでも相続税の支払いを抑えて、資産を譲り受ける方向で話が進むのであれば、
生前の節税対策というのも、無理ない範囲で検討してみるのが良いのではないではないでしょうか?
お金は天国へ持っていけません
前項で、相続税対策の話題を取り上げましたが、お金の置き場を変える以外の方法もあります。
それは、ご両親が健在の今「お金を使うこと」です。
「何が起こるか分からないから不安だ・・・」
という想いから、年配の方になればなるほど、お金を貯めている方が多いように感じます。
実際、60歳以上の方が、金融資産の60%以上を保有しているというデータも出ています。

不安なお気持ちは分かりますが、お金は使って初めて 価値を感じられる存在です。
楽しかった、思い出に残っている。そんな経験を積み重ねてこそ、人生は充実します。
お金は、その経験を積むことを助けてくれる存在でもあるのです。

年齢を重ねると、どうしても活動量が減り、楽しみなどにお金を使う機会も減ってしまう傾向があるのは否めません。
だからこそ、相続の話題をきっかけに、楽しみを味わう経験に使える資産があることが分かったら、ぜひ、ご両親に、健康で体力があるうちに、「お金を、自分の楽しみに使って!」と、積極的に提案してみて下さい。
相続対策、相続税対策にもなり、ご両親の生活にも潤いが生まれる、良い方法となるのではないか、と私は考えています。
関連ラジオ:相続の準備って、何から始めれば良いの?

FPオフィスケセラセラ横浜
斎藤 岳志 >>プロフィールをもっと見る
某百貨店に3年ほど勤務。色々な方との触れ合いを通じて、サービス・接客・対人関係の基礎を身につける。
百貨店在職中に、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、資格取得をしたことをきっかけに、数字を扱う仕事に興味がわき、転職して、経理・税務という職種を経験。自身の強みとなっている。
また、プライベートな部分でも、株式投資に始まり、信用取引や商品先物取引、投資信託やFXなど、投資と名のつくものはだいたい経験し、その経験を経てくる中で、一番自分の性格とうまの合った不動産投資を2007年にスタートして以来、自分の資産運用に関しては、中古マンション投資を中心に金融資産の運用と不動産を組み合わせたバランスを意識して取り組んでいる。
【所有資格】
CFP
相続診断士
終活アドバイザー
資産形成コンサルタント