年収と残債を確認しましょう
住宅ローンを組んでマイホームを持っていると、不動産投資は取り組みにくくなる。
一般論としては、そう考えられがちです。
また不動産投資は、マイホームと同じように、融資を利用して行うことが多い点も踏まえると、住宅ローンの残債があることで、マイナスの影響を及ぼすことがあるのも事実です。

だからと言って、マイホームの住宅ローンがあると、不動産投資用のローンを組むことができないわけではありません。
最初に確認することは、あなたの「年収」と「住宅ローンの残債」
不動産投資用のローンには、大きく分けると、「提携ローン」と「非提携ローン(プロパーローン)」という2種類が存在します。
提携ローンは、金融機関からお墨付きを受けている信頼のある不動産会社経由でしか借りることのできないローンです。信頼関係にあることで、あなた自身が直接申し込むよりも、有利な条件で借りられる可能性があります。

提携ローンの場合、金融機関によりますが、年収の8倍、10倍、12倍、15倍など、融資を受けることができる上限の目安が示されています。
つまり、あなたの年収に先程の倍率をかけて計算した金額から、既に組まれている住宅ローンの残債をマイナスした金額までは、不動産投資用ローンを組むことができる、という意味合いです。
分かりやすさという点も加味すると、最初は、あなたの年収と住宅ローンの残債を踏まえて、不動産投資用ローンをいくらくらいまでなら借りられそうか。 その目安を考えてみることが、良いかもしれません。
自宅や投資用物件を担保に

前項では、あなたの年収と住宅ローンの残債から、いくらくらいまでなら借りられそうかの目安を知ることができる、提携ローンに触れました。
この場合、基準が分かりやすく示されている一方で、条件を外れると貸してもらいにくいなど、機械的に判断される傾向があります。
会社員しか受け付けず、自営業や会社役員は、その立場だけでNGという金融機関もあるくらいです。
それに対して、非提携ローン(プロパーローン)は、個別事情に合わせながら、判断してもらえるローンです。
年収だけで判断せず、保有している金融資産、ご家族の収入や資産なども加味しながら、審査、判断をしてくれるという意味合いです。
そのため、融資の可否判断がおりるまで時間がかかるなど、使い勝手は提携ローンに劣る部分もありますが、一度取引をスタートできれば、そして返済を滞らせず、金融機関から認めてもらえれば、その後、追加で融資を受けたい時などは、融資可否の判断も柔軟にしてもらえる可能性が広がります。

プロパーローンの場合は、住宅ローンを組んでいてもマイホームを持っていること、すでに賃貸用物件を保有していることなどがプラスに評価されることもある
すでに持っている不動産を共同担保として差し出すことで、融資可否の判断にプラスの影響をもたらしてくれる可能性があるという意味合いです。
プロパーローンを活用する場合、ご自宅や他の賃貸用物件を担保に差し出すことは、有利な条件を引き出すことにもつながる余地があるという点で、マイナスに捉えないで頂ければと思います。
賃貸に住み替えるという選択も
ここまで、提携ローン、プロパーローンで、不動産投資用ローンを組むことができる可能性、目安についてお伝えしてきましたが、住宅ローンの残債があることは、その分借りられる金額が減るという点ではマイナスに寄与することとなります。
その点から考えた時、住宅ローンの残債がない状態、つまり賃貸住宅に住むことが、不動産投資用ローンを組む上でプラスに働く可能性もあります。

住宅ローンがなければ、その分多くのローンを借りられる可能性が広がる
実際、億万長者と言われる方の中には、自分の住まいは賃貸。所有している不動産はすべて賃貸用。
という方も少なくありません。
保有している賃貸用不動産から入ってくる賃貸収入を、自分が自宅として住む家賃の支払いに充てることで、
実質的な住まいのコストを下げるという工夫をしている方もいらっしゃいます。
まとめ
ここまでお伝えしてきたように、不動産投資用ローンを組む方法は、いろいろな選択肢を考えることが可能です。
いずれにしても、あなた自身がどのようなスタンスで、不動産投資、大家業に取り組みたいかによって、ローンとどう付き合っていくかも変わります。
だからこそ、不動産投資、大家業に、どんな目的をもって取り組みたいか、という目標設定を最初に考えることが大切だと私は考えています。
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斎藤 岳志 >>プロフィールをもっと見る
某百貨店に3年ほど勤務。色々な方との触れ合いを通じて、サービス・接客・対人関係の基礎を身につける。
百貨店在職中に、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、資格取得をしたことをきっかけに、数字を扱う仕事に興味がわき、転職して、経理・税務という職種を経験。自身の強みとなっている。
また、プライベートな部分でも、株式投資に始まり、信用取引や商品先物取引、投資信託やFXなど、投資と名のつくものはだいたい経験し、その経験を経てくる中で、一番自分の性格とうまの合った不動産投資を2007年にスタートして以来、自分の資産運用に関しては、中古マンション投資を中心に金融資産の運用と不動産を組み合わせたバランスを意識して取り組んでいる。
【所有資格】
CFP
相続診断士
終活アドバイザー
資産形成コンサルタント