ブログ不動産も残クレの時代?未来の不安が軽減できる!
「残価設定型住宅ローンの紹介開始」
大和ハウス工業さんが、2022年10月から、新築戸建住宅を検討する方へ始めたサービスです。
自動車には、3年後とか5年後の残価を設定してローンを組むという商品がありますが、
住宅に関しては、私の知っている限り、初めてではないかな、と感じています。
今回の大和ハウス工業さんのサービスは、
諸条件を満たした新築戸建住宅で、残価の設定を何年後にするかなどの条件はありますが、
設定した月以降であれば、いつでも住宅ローンの残高と同額で、買取をしてくれる、という内容です。
つまり、設定した月以降であれば、市場での売買価格が、住宅ローンの残高を下回っていたとしても、残高の金額で買い取ってくれるので、
将来、売りたくなった時に、残債を返せず手放せないということがなくなる、という点で、安心感があるという印象を受けました。
さらに、もし市場での売却価格が残債を上回っていればオプションを使わず、普通に売却しても良く、
売却をしない場合でも、移住・住み替え支援機構のマイホーム借り上げ制度を利用して、賃貸運用もできるという内容です。
未来が見通せない状況の中で、このオプションがあることで、将来的な転機が訪れた場合にも、住み続ける、売却する、賃貸に回すなどを、状況に合わせて選べるフレキシブルさがある。
そして、換金性や流動性が悪いと言われる不動産の処分、活用という不安を購入時に和らげてくれる。
そのような点からも、マイホームの購入=35年の住宅ローンを抱えるというような責任や不安を感じる方にとっては、利用できるなら選択肢の一つとして検討してみる価値のあるオプションかな、と感じます。
さて、このローンのことを知って、最初に私が考えたこと。
それは、不動産投資、大家業用のローンでも、同じような仕組みの商品が出てこないかな、ということ。
例えばですが、20年保有した後であれば、オプションつけていれば、市場価格が下がっていても、残債で買取してもらえる、みたいな仕組みのローンがあると、不安感が和らぐ方も増えるのではないかな、ということ。
今回の大和ハウス工業さんのような残価設定型の投資・賃貸業向けのローンは、なかなか出てこないかもしれないですが、
将来の不安を和らげるという意味での、売却価格の想定、という未来予想であれば、ある程度まではできるのではないかな、と考えています。
どういうことか?
三井住友トラスト基礎研究所が以前公表した賃料に関する資料を見ると、新築の時を100とした場合、
築10年でおよそ90、築20年でおよそ80、それ以降は、横ばいで推移するということが示されています。
ここでは、18平方メートル~30平方メートルくらいの、いわゆる中古区分ワンルームの不動産投資、大家業という点にスポットをあてて考えてみます。
中古区分ワンルームマンションの場合、買主も売主も、大多数が、投資家、賃貸業を営んでいる人や会社になります。
その時に、価格が決まる要因として、分かりやすい基準は、何になるでしょうか?
それは、利回りです。
資産運用含めた、投資商品として見た時に、どのくらいのリターンを得られるのか、そのリターンに魅力を感じられるかどうかが、売買に大きな影響を与えます。
そこで、ポイントになるのが「賃料」です。
話を分かりやすくするために、管理費や修繕積立金のような経費は考えずに、お伝えします。
先程伝えた、三井住友トラスト基礎研究所さんの賃料データを踏まえると、
新築の時の賃料が10万円だとした場合、築10年の時は新築の約9割なので9万円、
同じように築20年の時は約8割なので8万円となります。
そして、20年以降に関しては、ほぼ横ばいですが、緩やかな下落を想定して、築30年で、新築時の約7割、7万円とします。
この物件に期待する利回りが、5%だとした場合、新築時は10万円×12ヶ月=120万円÷5%=2,400万円。
同じように計算していくと、築10年では2,160万円、築20年では1,920万円、築30年では1,680万円となります。
物件の管理状態などによって違いは生じますが、築30年で流通している売買を見ると、
それ以降は、おおよそ同じくらいの金額で取引されていることが多いように感じています。
そう考えると、あなたが、築10年でこの物件を2,160万円で買ったとした場合、
20年間保有して、築30年となった時に売りたいとしても、利回りから考えると、1,680万円前後で購入希望者が現れる可能性がある。
築年数が古くなったことで、もう少し高い利回りを求めて、6%で考えたとしても、1,400万円であれば、購入希望者が現れる可能性がある。
この考え方は、残価設定型の買取ではないので、確実にという保証はありませんが、
すでに長らくやりとりがされている、不動産流通市場を見ながら考えることで、将来の売却価格をある程度、想定することはできるのではないか、と私は考えています。
そして、この見通しがあることは、不確実性はありながらも、
売れるかどうか分からない、みたいな漠然とした不安を和らげることにつながるのではないでしょうか?
資産形成に取り入れる不動産は、頻繁に売買せず、貸しながら長く持ち続けることで、賃料収入を継続して得ることが1番の目的にはなります。
とは言え、いつ、状況が変わったり、何が起きるかは分かりません。
そんな時に備えて、想定できる売却価格を考えておくこと。
いわゆる「出口戦略」の1つとして、最初に考え、頭の片隅にでも意識しておくだけでも、精神的な安心感に違いが出ると私は考えていますが、あなたはどう思いますか?