ブログ第三者管理のマンションはありですか?
「組合運営もアウトソースの時代?」
マイホームにせよ賃貸用にせよ、区分マンションを持っている方には切り離せないことがあります。
それは「管理組合の一員になること」です。
区分マンションは、部屋の中だけが、専有部分としてあなたの自由にできる場所。
廊下、エントランス、エレベーターなど、同じマンションで過ごす方が、共通に利用するスペースが共用部分。
その共用部分を、みんなでお金を出し合い、知恵を出し合い、維持管理していくために設けられているのが、管理組合です。
とは言え、マンションの維持管理に詳しくない人の方が多いのが現実だと思います。
そこで、建物管理会社へ組合の運営助言をお願いしているケースが多いです。
建物管理会社は、あくまでもサポート役という位置づけで、組合の理事を中心に、最終意思決定していくというのが、現在の多数の管理組合だと感じています。
その、意思決定の中心的な役割も、建物管理会社にアウトソースすること。それが、第三者管理方式です。
「理事のなり手がいない」とか
「所有者が高齢化してきている」など、理由は様々あると思いますが、
最近は、第三者管理方式を導入するマンションが、広がりつつあります。
仕事以外の時間を理事としての活動にあてること、
そして、各所有者間の意見をまとめたりするような重責から解放されることにつながるので、
第三者管理方式を導入できれば、所有者の負担が減ることは間違いなく、良い選択に感じます。
私自身も、マンションの維持管理・メンテナンスなどの設備関係に関してはプロではないので、第三者管理方式は、ラクに感じる部分があり、良いかもしれないという想いもあります。
ただ、本当に良い選択になるのでしょうか?
第三者管理方式は、所有者にとって良い選択なのでしょうか?
先程のような想いもあるので、偉そうなことは言い切れないのですが、第三者管理方式を導入することには、慎重な判断をした方が良いと私は考えています。
その理由として次の2点を考えています。
「所有者各々の、マンションの維持管理への関心が薄くなってしまうこと」
「建物管理会社が理事長を兼ねることで、所有者が毎月払っている貴重な管理費や修繕積立金が、管理会社主導で使われることになりかねないこと」
餅は餅屋だとは思うので、マンションの維持管理や設備のメンテナンスなどに関して、精通しているプロに任せるというのは、理に適っているとは思います。
ただ、第三者管理方式を取り入れることは、おおまかに言えば、
「建物管理会社に、お財布そのものを預けるから、その中で、好きなように維持管理、メンテナンスして下さい」
ということです。
もちろん、大切なことを決めるときには、総会などで、各所有者の議決を取り、定足数を満たして承認がされなければ、前に進まないことにはなります。
しかし、第三者管理方式を取り入れることは、各々の所有者から、マンションの共用部分への関心が薄れる結果を招き、総会などで、「議長に一任」するケースが増えることにつながるのではないか、と私は感じます。
そうなると、もしかしたら必要ない工事も含めて、お財布の中身を見ながら、建物管理会社が工事の計画から発注まで、すべて取り仕切って行うことになり、財布の中身が少なくなったり足りなくなったら、値上げ、などに踏み切る可能性が大いにありえます。
悪い見方をすれば、建物管理会社が財布の中身を見ながら、好き勝手に、マンションの工事を行いかねないのです。工事をすることが、自社の利益につながるようなケースさえありえます。
あなたは、信頼できる相手だとしても、あなたのお財布を、家族以外の誰かに預けたりしますか?
後見制度を利用する必要がある方などを除けば、今の質問にYESと答える方はいないのではないでしょうか?
それなのに、あなたの住まいとして、そして、賃貸用として所有しているマンションのお財布は、第三者である建物管理会社に預けることを選ぶ。
これが、第三者管理方式を導入することの懸念点として、私が考えていることです。
お金の使われ方をしっかりと監視して、管理できるのであれば、取り入れるのも悪くはないと思いますが、そこまで目配りができる方がいるのであれば、そもそも第三者管理方式を導入する選択はしないのではないか、と私は感じています。
まだ第三者管理方式を導入しているマンションは少ないですが、
「理事にならなくて良いですよ」という言葉につられて、導入の選択をするマンションが増えてしまわないかどうか。
区分マンション大家という立場からではありますが、マンションに関わるひとりとして、今後の動向を注視していきたいと考えています。
あなたは、第三者管理方式を導入することに賛成ですか?
反対ですか?
あなたが、もしマイホームにせよ、賃貸用にせよ、区分マンションを持っているのであれば、ぜひ一度、考えてみて頂ければと思います。